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文章エステ/マナー違反の失礼な文を矯正して、ワンランク格上げ(その2)

投稿日:2018年10月6日 更新日:

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敬語を使ったつもりが、実はとんでもなく不遜な言い方をしていることがあります。

たいていの場合は、相手の方もいちいち目くじらを立てたりせず、軽く受け流してくれるでしょう。

しかし、不遜な言い方をしている当人が一向に気づく気配もなく、何度となく繰返していると、相手の方はついにたまりかね、「なにを偉そうに!」とブチ切れてしまうかもしれません。

●要注意! 偉そうに聞こえてしまう「へりくだり表現」

【例 文】ご面倒をおかけしますが、当社までご足労ください。

【改善例】ご足労をおかけし誠に恐縮ですが、ご来社を願えますでしょうか。

↑<解説>

・敬語の使い方を間違えると、相手の気分を害します。

・あなたも、言われてカチンとくる言葉があったら、「どう言われればカチンとこないのか」と考えることを習慣づけると良いですね。

【例 文】ご苦労様です。

【改善例】お疲れ様でございます。

↑<解説>

・上司が部下に「ご苦労様です」と言うのは不遜にあたりません。
けれども、平社員が上司や社長に向かって「ご苦労様です」などと言った日には目も当てられません。「おまえ、何様のつもりだ」と大目玉を喰うでしょう。

・「ご苦労様です」と声を掛けて良いのは、同僚、部下、後輩、友人などです。

【例 文】課長の頑張り(努力)のおかげです。

【改善例】課長のご尽力のおかげです。

↑<解説>

・仕事が順調に進展しているのは上司のおかげ、部下として一言、感謝の気持ちを伝えたいというときこそ、言葉遣いに注意が必要です。

・敬語の使い方を誤ると、上司は見下されているように感じて、とたんに不機嫌になる恐れがあります。

・「ご尽力」という言葉など、聞いたことも使ったこともないという人は多いかもしれません。
この機会に覚えていただくと良いですね。

【例 文】参考になりました。(または、「参考にさせてもらいます」)

【改善例】大変勉強になりました。

↑<解説>

・「参考」とは、手がかりやヒントのことを指します。

「参考」と「勉強」、ちょっとした違いのようですが、相手に与える印象はまるで違います。

・「参考になった」というのは、上から目線でものを言っているような印象を与えてしまいます。

「勉強になりました」と言えば、謙虚な姿勢を感じさせます。

・「教えてよかった」「これからも面倒をみてやろう」という気にさせるには、「大変勉強になりました」の一言が効きます。

【例 文】感心しました。

【改善例】感銘を受けました。

↑<解説>

・「感心」ではなく「感銘」。これなら上から目線にならずに済みます。

【例 文】今後ともご指導していただきたく、よろしくお願い申し上げます。

【改善例】今後ともご指導いただきたく、よろしくお願い申し上げます。

↑<解説>

・「指導して」の「して」を省くことにより、命令口調になることを避けられます。

【例 文】今の説明で、おわかりになりましたか。

【改善例】今の説明で、おわかりいただけましたでしょうか。
(または、「ご理解いただけましたでしょうか」)

【例 文】ご不明の点がおありでしたら、ご遠慮なくおっしゃってください。いつでもお教えいたします。

【改善例】ご不明の点がおありでしたら、ご遠慮なくおっしゃってください。いつでもご説明いたします。

【例 文】筆記用具をご持参ください。

【改善例】筆記用具をお持ちください。

↑<解説>

・自分が持って行く場合は、「持って参る」という謙譲語がふさわしく、その変形パターンとして、「持参します」「持参いたします」といってOKです。

【例 文】ご記入してもらってよろしいですか。

【改善例】ご記入を願えますか。(または、「記入してくださいますか」)

↑<解説>

・例文は、誰にとってよろしいという意味で訊いているのか定かでありません。

・例文のように、許可を求めるのではなく、依頼をする場合は、「お願いする」のにふさわしい表現をするべきでしょう。

【例 文】製品には万全を期しておりますが、不都合な点がありましたらお申し出ください。

【改善例】製品には万全を期しておりますが、不都合な点がありましたらお知らせください。(または、「お申し付けください」)

↑<解説>

「お申し出ください」は全体で尊敬語として使われており、明らかな間違いとまでは言えませんが、「申し出る」そのものには謙譲語の性格が残っているため、客に対しては「お申し付けください」「お知らせください」などの言い方をするほうが望ましいでしょう。

(『明鏡国語辞典』の編集委員による著書『続弾!問題な日本語』より引用)

【例 文】了解です。(または、「了解しました」)

【改善例】承知しました。(または、「承りました」「かしこまりました」)

↑<解説>

・「了解した」というのは、「あなたの都合を理解した」ということで、上から目線の物言いに感じられます。

「あなたの都合に合わせてさしあげますよ」と、恩着せがましいニュアンスが言外ににじみ出てしまう場合もあります。

【例 文】ご注文は何にいたしますか。

【改善例】ご注文は何になさいますか。

【例 文】と申しますと?

【改善例】と、おっしゃいますと?

【例 文】○○さんが申されたように

【改善例】○○さんがおっしゃったように

【例 文】○○さんはおられますか。

【改善例】○○さんはいらっしゃいますか。

↑<解説>

・「いる」の尊敬語は「いられる」「いらっしゃる」、謙譲語は「おる」「おります」。

「今日は一日、社におります」「お世話になっております」というように、仕事の場で頻繁に登場する言葉です。

(以下は『問題な日本語』より引用)

・「おる」「おります」は、自分の側がへりくだって使う言葉であって、相手に対して使うものではありません。

・「おります」は相手に対する尊敬語ではないが、「おられる」「おられます」とするなら、敬語として適切。
ただし、「おる」は謙譲語なので、「おられる」を尊敬に使うのは誤りだとする意見は根強い。

・「いられる」という尊敬語はあまり一般的でなく、尊敬表現には、むしろ「おられる」が普通に使われることになります。

・「いらっしゃる」は、「いられる」や「おられる」よりも一段高い敬意を表しています。

【例 文】○○さんはいつ戻ってまいられますか。

【改善例】○○さんはいつ戻っていらっしゃいますか。
(または、「○○さんはいつお戻りのご予定でしょうか」

↑<解説>

・「まいる」は「行く」の謙譲語で、「行きます」を「まいります」というように使います。

・「戻ってまいります」とは、「戻ってきます」の謙譲表現で、これはあくまでも自分の側がへりくだって用いるものです。

・自分自身のことだけでなく、「娘はまもなく戻ってまいります」「課長は3時に戻ってまいります」というように、自分の身内のことを外部の人に伝える際にも用いられます。

・敬語を使うべき相手を指して、「社長さんはいつ戻ってまいられますか」などと言うと、相手を持ち上げるどころか、かえって貶めることになります。

↑「社長が戻るまで待ってやるから、だいたい何時頃になるか、教えろ」と言っているようなものです。

【例 文】ご伝言をお願いできますか。

【改善例】お言伝(おことづて)をお願いできますか。

↑<解説>

・相手から伝言を預かり、「ご伝言を承りました」と言うのは好ましい対応です。

・「相談」を「ご相談」、「電話」を「お電話」とするように、「伝言」にも「ご」をつけて「ご伝言をお願いします」と言っていけないわけではありません。

しかし、「自分が託す伝言なのだから、『ご』をつけるのは敬語の使い方として不適切」と感じられてしまう場合があります。

・「ご伝言」てはなく「おことづて」とすれば、伝言を託す相手に対する敬意を示すとともに、丁寧で失礼のない表現になります。

【例 文】お陰様をもちまして

【改善例】お陰様をもって

↑<解説>

・「お陰で」「お陰様で」「お陰様をもって」というように、語が長くなるほど丁寧さが増します。

もう一押しということで、「お陰様をもちまして」とする人もいますが、これは明らかに敬語の誤用であるとされています。

・「お陰様をもって」の「もって」は、漢字で書くと「以て」となります。

「持って」ならば、「持ちまして」と丁寧に表現することが可能ですが、「以て」は助詞の「で」に相当する語であるため、「以ちまして」と言い換えることはできないのです。

【例 文】申し訳ございません。

【改善例】申し訳ない。
(または、「申し訳ないことです」「申し訳ないことでございます」)

↑<解説>

・深くお詫びをするべき場面で「すみません」「ごめんなさい」と言ったのでは軽々しく感じられます。

そこで、「申し訳ありません」「申し訳ございません」となるのですが、厳密にいうと、この用法は間違いです。

・本来、「申し訳ない」というのは一塊の語であって、これを崩すことはできないとされています。

【例 文】とんでもございません。

【改善例】とんでもない。

↑<解説>

・「とんでもありません」「とんでもございません」という言い方は広く使われており、『明鏡国語辞典』では「文法的に誤った表現ではない」としています。

・そのいっぽうで、「『とんでもない』という表現こそが正しい。丁寧に言いたいときは、『とんでもないことです』『とんでもないことでございます』とするべき」と提唱する人もいます。
(筆者の知る限り、文法的な正否を確かめる拠り所はないようです。)

●まとめの一言


敬語を使うべき相手は、目上の方や年長者、お客様とは限りません。

相手が誰であれ、できるだけ敬語を使うようにしましょう。

関連記事→文章エステ・頭の中で情報を整理しながら書く

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