恋愛かくれんぼ

恋愛かくれんぼ・デートノート2010③

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【2010 November】

2010.11.4

●K君──ジェームス・ブラウンの75年のライブを記録編集した『ソウルパワー』という映画を観た。

誰かと話したくなる瞬間なのだ。

…………………………

●T子──メール今見た。

ちゃんと家に帰ったの?

それだけ確認したくて。

…………………………

●K君──あれから、新宿のホテル泊。

JBを観たあと、「帰った」が。

今朝のアッティチュードなど、より、まあ、やっぱり無理だなと。

今夜から週末。

マンガ喫茶か!

…………………………

●T子──あの日、横須賀中央駅で降りてから、どうしたの?

まったくもう、バカなことばっかりやってんだから!

見てらんないよ!

…………………………

●K君──どうしようか考えながら、横須賀駅まで歩き、新宿へ。

…………………………

●T子──今朝見つけた情報

三田文学創刊100年記念・新人賞拡大版・4部門。

小説・評論・詩・戯曲。

いずれも400字原稿用紙100以内。

パソコン・ワープロ可・縦書き。

締切2011年3月31日。

私、これにする!

あなたも、どう?

…………………………

●K君──中上健二だ。

…………………………

●T子──中上健次でしょう。

ライバルの早稲田文学からは一昨年、川上未映子が登場し、翌年に芥川賞を受賞、とある。

(それで慶應はライバル心を燃やし、芥川賞を出そうと躍起になっているはず、と私はにらんでいたが、案の定、というかさっそく、大学院生の朝吹真理子の受賞となった)

☆☆

(T子記す)

私が作家として成功し、弟もKもそばにおけたら最高!

ああ、どうして私はこんなにKに弱いんだろ。

あいつはやさしい悪魔。

この執着を断ち切ることができたら楽になる。

でも断ち切ってしまったら、きっとつまらないだろう。

☆☆

24時間デート第1弾のあとは、甘い記憶をひたすら反芻していた。

第2弾のあとは、いよいよ心乱れる。

いろいろ考えてしまう。

Kの今後の身の振り方、家庭のこと、離婚のこと、仕事やお金のことなど。

結局、Kは独りになったらやっていけないだろう。

夫婦仲は険悪ながらも、ああして寄り合っているからなんとかなっているのだ。

☆☆

Kは老親にお金を無心し、施設に入れて家を売ろうとしており、そのために大量のゴミ出しをした。

考えてみればひどい男だ。

フェリーの女性職員にキレたのも、ちっちゃいぞ。

☆☆

それに、仕事がうまくいってブイブイいわせてたときは(家庭もうまくいってたし)、私が寄っていってもロクに相手もしてくれなかったじゃん。

40年来の「好き」があっても、あいつは私ほど「好き」じゃないのだ。

あいつの「好き」もたしかに理解できるけど、マメじゃないし、面倒くさがりだし、誠実じゃないし、つきあい悪いし、身勝手で思いやりに欠けるし、たぶん浮気もするし、ずっと一緒にいたらいろいろ大変だよ、きっと。

(以下は、とりとめもなく頭に浮かぶ甘い思い出)

だが、こうして書いてしまうと、次第にどうでもよくなる。平常心を取り戻す。

☆☆

15歳だった。

その秋、16歳のお誕生日プレゼントにブレスレットをリクエストした。

「君はマゾか、手錠がほしいのか」と言われた。

俺なかなかうまいこと言ったな、名前を彫ってプレゼントしたんだよな、とK。

よく憶えてるじゃん、と私。

あれ以来一度も女にプレゼントなんかしたことがない。

私だって一度ももらったことない、女としてナメられてる?

いや。

☆☆

俺もすっかりおじさんになっちゃって、どこにいても高校生の女の子たちなんか俺のことまるで無視している、でもおまえが来れば人の見る目が変わると思った。

☆☆

おまえ、やさしいな。

やっとわかったの?

☆☆

私は機嫌が悪いわけじゃないの、ただちょっと調子が悪くて元気がないだけ。

Tちゃん、いきなり豹変しないでね。

☆☆

あんた以上にいい男が見つけられない、ミック・ジャガーでもだめ、でもついに、ペ・ヨンジュンを見つけた。

眼鏡市場のおじさん。

やめてよ。

☆☆

おまえ、あのときも毛皮のコート着てた、それ憶えてる。

☆☆

サード。

Trirdもなにも、こんなふうになったのははじめて。

☆☆

1000人寝ても、ほとんどは記憶にない。

(それはセックスじゃなくて買春)。

私は20人くらい、でも忘れてる人もいる、数えるたびに数が違う。

オレ何人目?

ふたりめ。

かなりいいセンだな。

☆☆

このひとは私が愛してるほどには愛してくれない、私は気が多いけど、彼が一番なのに。

☆☆

女房との直近のいい思い出は拓郎コンサートに行ったこと。

去年?

☆☆

あんた、自分が好きなもの買ってるの?

基本的にはな。

奥さんの好きなもの買って帰ればいいじゃん。

筋子、タラコもお弁当のおかずになる。

(この直後、私は悲しくなって外に出た。あいつも、私が気分を害したことに気づいただろう)

☆☆

フェリーを降りてしばし憩う間、Kは私の頬をやさしく突いた。

そして私のマフラーに付いている毛皮で顔を撫でた。

酔っていると、なんでもできる。

☆☆

手がきれい、身体の線がくずれていない、お腹も出ていないし、とKは言ってくれた。

☆☆

ふーん、BFたくさんいるのね、とK。

☆☆

俺は嫉妬しないほう、してもしょうがない、マメじゃない。

☆☆

あのとき、若沢のうちに、なんで来たんだよ!

あんたも一緒だったじゃん。

☆☆

女房とよりも、おまえとのほうが長い。

時系列ではね、でも一緒にいた時間はあっちのほうが長いでしょ。

☆☆

「Kさん、Tちゃんみたいな彼女がいたら、ほかに女なんかつくれませんね」と、Uちゃんの男が言ってくれた。

後に思ったことだが、あのとき第三者がいてくれたから、私はKへの思いを正直に語るきっかけがつかめたのだ。

感謝。

☆☆

夏木マリだ、銀座でもいける、もう少しおとなしくしてれば、とK。

☆☆

書くことについて話してるときも楽しそうだけど、映画の現場の話をしてるともっと楽しそう。

現場はダイナミックだからな。

☆☆

寝顔がいい。

起きてるとなに言い出すかわかんないから?

☆☆

昔は、「あの男が死んでくれれば」と思ったけど、今はあんたが死んだらつらい。

☆☆

おまえも寝ないと顔がやつれるほうだな、でも、いい女だ。

☆☆

朝めし食いながら酒、が一番の幸せ、酒が一番で、その下に人生があって、書くことがある。

そんなに好きなら、お酒で少し寿命が短くなっても仕方ないね。

そう!

☆☆

短歌のねえちゃんも、T子っていう名前で、作家○○の娘。

☆☆

マ○ヨ、メ○ちゃん、ムカつく、私の男たちにチョッカイ出すな、というか出されるな、チョロチョロすんな。

☆☆

おまえ、最後はいつ寝た? 俺なんか、もう3年してない、誰とも。

☆☆

やった女の数だけ流れ星。

やらしてもらった女の数でしょ。

うまい!

☆☆

おまえの人生おもしろいから書け。

私小説は嫌。

じゃ俺が書く。

いいよ、私だとわからないようにするなら。

わかっちまうだろ。

☆☆

子供たちが「パパとママは一緒にいないほうがいいよ」と言う、夫婦の険悪な空気を嫌がっている。

☆☆

女房は金さえもらえればいいと思ってる、隠喩がわからない、直球ストレートじゃないと通じない、人の二段飛びで感情が変わる、速い。

☆☆

キネ旬に映画批評を書くことになってる、とK。

☆☆

石井監督の映画は、俺の中で何かが終った、虚脱状態。

☆☆

愛するっていうのがよくわかんない、自分を愛するのならわかる。

私は、お母さんや弟のためなら死んでもいい、それが愛してるってことでしょ、あんたにも、私の寿命を少しくらいなら分けてあげてもいいよ。

☆☆

(TVで何か喋っている映画監督を見て)

うるせーぞ○○、とK。

私、笑う。

Kの太く低い声がセクシー。

☆☆

(Kを気に入っているらしい近所の60女に向かって)

うるせーな、ちょっと黙ってろよ! と言ったことがあるらしい。

私、その話を思い出すたびに笑いが止まらない。

☆☆

熱海の旅館の女将とできちゃった、相手も魔が差したんだろうな。

☆☆

地理や社会科が得意なとこが好き、私ってすごい社会オンチじゃん、あんたの代わりにあいつと一緒になっちゃった、早稲田の社会科学にいったやつ。

☆☆

なぜあんた、早稲田に受からなかったんだろう、社会科学部も受けた?

受けた。

☆☆

自分では絶対に買わないような本の原稿を書いて稼いでる、だけど今後は自分が読みたい本を書く、どこかでちゃんとやらなきゃ、書く書くと言ってばかりいないでさ。

☆☆

もう、映画はいい、これからは書くために、あと10年生きたい。

10年じゃ書ききれないよ。

☆☆

いのちより大切なUSBメモリー、これが金になる、女房は何が金になるかわかっていない。

☆☆

アンダーヘアの手入れ、あそこのうちでもやってたのか。

見たいから。

☆☆

Kは耳がいい。

寝ながらでも、テレビのニュースを拾っている。

☆☆

居酒屋でマンウォッチング。

Kはどこにいても、他人をウォッチングしている。

みんな一生懸命生きてるな、と思う。

私はこういう人たちを美しく書きたいの。

美しくってのは、人に見られてるという意識が大事だな。

この世の美に貢献しているっていう意識だよ。

☆☆

おまえが送って寄越した大人の絵本、あれは大人の童話だろ、あれだけはコメントしようがなかった、全然ダメ。

ショック!

☆☆

うちのアパート、こんなふう。

おれ、そこに住む。

☆☆

煉獄だ。

お金が原因? なら、お金がうまく回り出せば元に戻れるじゃん。

そうかな?(とKは一瞬うれしそう)、でもダメだね、ここまできたらもう戻らない、と。

☆☆

○○プロデューサーが恐ろしいことを言った。

「あのふたりはいずれ一緒になるだろう、T子ちゃんが慰謝料払うんだろう」って。

☆☆

この夏、私もいろいろ大変だったから、これはご褒美かも、あるいは、「次いけ」ってことかも、今度の男は良さそうだぞって。

と私はKに言ったが、それは私の本心ではない。

☆☆

俺とのことは深く考えなくていいんじゃない? 40年の時間があった、10年後に会ったときは50年かと思えばいい。

(↑どーゆー意味よ???)

☆☆

久里浜霊園、サガミワンに散骨。

だれに撒いてもらうの?娘?

相模湾じゃなくてもどこでもいい。

☆☆

今日は東京から「本屋さん」が来てるから、いろいろ書いてもらおうと思ったのに。

(フェリー券の購入時にトラブルあり、Kが職員に向けて嫌味暴言)

☆☆

(三浦の企画を立ち上げたとおり)俺ちゃんとやれるから。

そうね、私もあんたにあれこれ言うのはやめる。

☆☆

毎朝30分歩いてる。

見直した、ダメンズじゃないよ、歩いてる人は成功するって。

今さら成功なんかしても。

売れない作家になったってしょうがないじゃん。

売れなきゃ書けない。

たしかに。

☆☆

三浦から横浜、距離的には近いな、でも心理的には遠い、京浜急行つらい、横須賀線のつらさとまた違う。

でも今は、我が横浜に運んでくれる電車だと思えばありがたい、それに私はどこでもいいのよ、あんたと一緒なら。

☆☆

子供がいるかどうかで違うな。

(夫婦の間に、という意味よね?)

☆☆

あんた一度も私のマンションに来なかったじゃん。なぜ? 手料理ごちそうしようと思ってたのに。

困ったときの避難所にしようと思って。

その心掛けが悪い、みんな、おめでとうって来てくれたのに!! ホームパーティ楽しかったのよ。

☆☆

夢精したことがない。

私は夢でいっちゃうことある、そういうときの夢ではたいてい、女とやってる。

やるって具体的に何するの?

なめてる。

おまえがなめるの? そーゆーとこ、あんのかもな。

☆☆

前の男と別れ話をしながら、3時間やってたって? とKは聞きとがめる

ずっと入れっぱなしだったわけじゃないよ、と私。

それはわかってる。

☆☆

マルクス経済学は、おそらくもう一度くるでしょ、あれをちゃんと検証しなきゃ!! 近代経済学ではだめなんだから。

(計画経済と富の分配の問題)

☆☆

早稲田、慶應、中央、そのラインから明治、法政へはかなり隔たりがあった、当時はね、とK。

☆☆

島尾敏雄の気持ちがわかる、狂妻もの、とK。

奥さん?

おふくろだよ。

☆☆

おまえのオフクロさんと俺、気が合いそう。

かつて私があんたにどんな目にあわされたかかを知らなきゃね、それならママもあんたと楽しく話ができると思う。

おまえうらやましいよ、家族で旅行したり、オヤジさんと最後の話ができたこともうらやましい。

あんたが「お悔やみ申し上げます」って言ってくれたとき、本当にうれしかった。

☆☆

あなたはお父さんが亡くなった日、横須賀線の中から私に電話くれたよね。

☆☆

女房とはもう話すことがない、「今月はお金ないの?」それだけ。

伊勢丹写真室で子供の七五三フォト20万円、俺に相談もなしに、常識はずれだ、そのあと、お受験がはじまった、勝手に、とK。

家賃17万円、とK。

それだけ払えるなら、マンション維持できたでしょ。

でも当時(10年前)、自己破産してる、女房は非協力的、そういう暮らしをしたがる、自分がこうしたかったと思う夢を子供に託してる。

☆☆

バブルの頃に生まれた長女はもう23歳で大学4年、息子は19歳、サッカーで自立しようとして新潟の学校に行ってる、次女はまだ高校生だけど出版社に就職志望、でもって家族全員が体育会系、俺だけイジイジ文科系。

いいじゃん、家族のキャラはカラッとしているみたい。

女房は北海道出身、違う業界の人、いずれ実母の面倒をみに郷里に戻るだろう。

☆☆

鎌倉をテーマにした論文を○○さんに送ろう、今すぐ電話してみよう。

よせ、冷静になって、もっとちゃんとしたものを書いてからでないと。

あんた、売り込みするのが嫌いだよねえ。

☆☆

三浦のことを書こうかな。

そうね。「そうね」としか言えない、あんたが急に偉く見えちゃって。

☆☆

奥さんのことぶつの?

ぶたねーよ。

だめんずウォーカーの私でも、一度も殴られたことないのが自慢、でも一度だけ、ひっぱたかれたけど、それはあんたのせい。

T子、俺が殴ってやろうか。

やだよ。

☆☆

ごめんなさいって奥さんに謝っちゃいなよ、そうすれば許してもらえる、じゃないと取り返しがつかないことになる、あとでいくら泣いて謝っても遅いのよ。

やだ、絶対謝らない、ありがとうとは思ってるが、ごめんとは思わない。

☆☆

「文筆業です、著述業です」と言えることがものすごく大きな誇りであり励みでもある、男が100人いても埋めきれない穴が埋まる、でも私がそういう仕事をしてること、たぶん誰も信じていない、「そんなふうに見えないもん」と母、「文筆業の人はもっとちゃんとした格好してるんじゃないの」とも言われる。

服じゃねえよ、早く有名になっちゃえばいいんだよ。

☆☆

孫のために老親が犠牲になるのは正しいと思う、とK。

いや、うちじゃ絶対に考えられないこと、と私。

おまえのとこはな。

そーよ、私は他家の人間ですから何も言いません。

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