人目を意識してこそ、快感を味わえる。
エスコートしたりされたりするのは、ふたりで外出したときです。
外出先ですから、当然そこには他人の目があります。
人に見られていると思うと恥ずかしくて、彼女のためにドアを開けたり、いちいち手を貸してやることなんてできない。俺は英国紳士じゃないんだから、そんなことしなくていーの。
という男性は多いのではないかしら。
その気持ちはわかります。街中でレディファーストを実践すれば、西洋かぶれの知性と教養をこれ見よがしにひけらかすようで、気がひけちゃうんですよね。
でも、そこで退かないのが男の中の男、女性を感激させる男です。
女性は、人目があるのにここまでしてくれるということに感激するんですよ。
女性だって、「他人にどう思われようが気にしない」というふうを装いつつも、実はものすごく人目を気にしており、「見て見て、わたしの彼氏はこんなにもやさしいのよ。こういう素敵なジェントルマンに大事にされるんだから、わたしって気高い淑女なのよねえ」と、内心鼻高々だったりするのです。
そう言われてもなお抵抗感をぬぐえないという男性諸氏は、ビジネス上の接待をしたときのことを思い返してみてください。
おもてなしをする相手の方の一挙一動に気を配り、それこそ下にもおかない丁重な扱いをしていたはずです。
接待のはじまりから終わりまで、「顧客ファースト」に徹していたと思います。
そんなあなたを見て他人がどう思おうが、ちっとも気にならなかったでしょう。
気になるのは、もてなしを受ける側の顧客がどう感じているか、だったでしょう。
特別な接待をされるほどのお偉いさんも一般の女性と同じように、実はものすごく人目を意識していて、「見てくれ、うちの取引先はこんなにも気が利くやつなんだぞ。こういう有能なビジネスマンに特別扱いされるのだから、わしもかなりの大物なのだよ」と内心鼻高々でご満悦、ということが非常に多いのではないでしょうか。
それを思うと、男性の皆様、「人が見ているから恥ずかしい」などと言っている場合ではないということがおわかりですね。
女性をいい気分にさせて信頼を勝ち取り、安心して身を任せてもらえるようにしたいなら、周囲の目を気にしないどころか、むしろ見せびらかすようなつもりで、レディファーストに徹してみましょう。
恥ずかしがらずに寄り添ってお散歩してほしい。
レディファーストだから何をするにもまず女性から先に、というわけではありません。
優先的に女性の順位を上げるのではなく、女性の気持ちを優先することが求められます。
「今ここで彼女はどうしたがっているのだろう」と推察し、機敏に動いて適切な対応をしてさしあげることが大事なのです。
この推察力と対応力は、いってみれば「人の顔色を窺う」「場の空気を読む」といった能力のことですね。
気づく人は気づく、気づかない人はてんで気づかない、世の中それでいいじゃないかと思うこともありますが、恋愛や性愛においては、気づく人・動く人であってこそ圧倒的に有利です。
デートのとき、女性が男性に求めているのは「特別扱いされること」「賞賛されること」ですから、彼女の一挙手一投足にいちいち感心してみせるくらいで丁度よいと思います。
「歩き方がきれいだね」「カッコいい脚だね」「靴の趣味がいいね」と誉める、ただそれだけのことでも、彼女はなんだか自分がものすごくいい女になったような気分になり、足取りも軽く弾むでしょう。
そこですかさず彼女に一歩近づき、手をつないで歩くようにすると、いよいよロマンチックムードが高まりますね。
ふだんあまり歩きたがらない女性に歩いてもらわないとならないときなどは、軽く手を引くようにしてリードする、というのもひとつの方法です。
昼日中に街中で手をつなぐのは場違いな感じがしてしまうというなら、彼女の前で肘をちょっと「くの字」に曲げて差し出し、彼女に腕を貸すようにするとよいですね。
カップルが腕を組んで颯爽と歩く姿は、年齢を問わずエレガントでいい感じです。銀座でも赤坂でも青山でも、シックな街並みに違和感なく馴染みます。
ドライブデートはリラックスムードが大事。
彼女を車に乗せてどこかへ連れ出すときは、助手席に彼女を座らせますよね。
それは当然のことですが、ここであらためて、彼女を助手のように扱ってはいけないということを肝に銘じる必要があるかもしれません。
なぜって、ハンドルを握って車を動かしているとつい、この場を仕切る中心人物は自分なのだという気になって、レディファーストの精神を忘れてしまいがちだからです。
運転に夢中になるあまり、彼女が話しかけてもロクに返事をしないというのはよくありませんね。
「ルート変更するから、ナビに入力してくれない?」「このあたりに喫煙可の飲食店がないか、スマホで調べてみてくれる?」など、あれこれ用事を言いつけるのも、レディファーストの精神に反する行ないです。
実際そんなことは気にしていられないという場面もあるかと思いますが、ドライブデートは男性が女性に運転技術とナビゲートの腕前を示す格好のシチュエーションでもあるのですから、極力、レディファーストのエスコートを貫くようにしてほしいのです。
あなたは富豪の美女に雇われた一介の運転手、そして彼女がその雇い主、というような気持ちで丁重に接するとよいのでは?
☆☆☆☆
助手席に座った女性が隣で運転をする男性のどんなところを見ているかというと、「冷静沈着とパニックの境界線がどこにあるか」です。
つまり、このひとはどこまで紳士の仮面をかぶっていられるか、どんなときにポロを出しやすいかを、それとなくチェックしているんですね。
運転がうまいのに越したことはありませんが、たまに道を間違えたり、ノロノロ運転になったり、車間距離をあけすぎて横から他の車に割り込まれたりしても、女性はというか私はさほど気になりません。(私は運転ものすごく下手なので)
気になるとしたら、そういう些細なアクシデントが起こるたびに男性が「チェッ!何やってんだバカヤロー!」などと悪態をついたときです。
そんなふうにイライラしながらガソリンスタンドに入り、給油をしてくれる若いスタッフさんに横柄な口をきいたりするのも、いただけませんね。
一瞬にして幻滅ですよ。
男性がいいところを見せようとしてスピードを上げたり、カーブにさしかかってもブレーキをかけずに曲がろうとするのも、カッコいいどころか逆に、みっともないと思っちゃいます。
☆☆☆☆
「安心できる」というのが何より肝心なのだと思います。
女性を車に乗せて、いらぬ緊張を強いるかリラックスさせるか、そこが運命の分かれ目とも言えます。
運転が上手な人もあまり得意でない人も、とにかく余裕をもって進んでいきましょう。
ドライブデートにおいて大事なことは、いかに速く走れるか、いかに多くの場所を見て回れるか、ではないのです。
動く車の中で過ごす時間がどれだけ心地良くてくつろげるか、その一点に成否がかかっています。
【今回のまとめ】
●人目をはばからずにレディファーストを貫く姿に女性は感激する。
●デートのとき、女性が男性に求めているのは「特別扱いされること」「賞賛されること」。
●女性の潜在的欲求を推察し、機敏に動いて適切な対応をすることが真の意味でのレディファースト。