【2011 November】
2011.11.1
●T子──毎日図書館で書いてるの?
PCワード原稿にしてくださいね。
ところであなた、今日は何の日かわかってる?
朝からバンバン、オトモダチはメールくれてるのに。
…………………………
●K君──まあ、こどもの「それ」も、いつも忘れてる。
HappyBirthday
絵文字(ケーキ・キラキラした木?・赤いダイヤマーク・酒)
…………………………
●T子──薄情、不精、身勝手。
でも、ありがとう。
呑むなよ。

2011.11.2
(Kの『放屁力』構成案を受信。あえて返信しなかった)
…………………………
2011.11.3
●K君──野坂の『妄想老人日記』読む。
『放尿力』に大いに引用する。
☆☆
書き出しのアネクドート発見。
明日から、打ち込む。
☆☆
構成を見て、多分「違う」と想像しただろう。
ハウトゥ本を仮装した「私小説」。
『ホーヒーリキ』でもいい。
☆☆
横浜講演会。
野坂さん、7、8年前に倒れて、馴染みの古書店にも来ていないそうな。
16歳秋、野毛で浮浪児に身ぐるみはがれた。
何年ぶりかのラーメンを食べ、銀座へ向かう。
台所のテーブルに講演料置き、忍び足で書斎。
☆☆
五十音に「んこ」をつけると、ほとんど熟語になる、と呆然と考えている。
…………………………
●K君──小津安二郎は、横浜「海員閣」のサンマーメン(生馬麺)が贔屓であった。
返信芙蓉。
…………………………
●T子──野坂昭如が岩井志麻子と『猥談』して、男関係何度もありと言っていた。
あんた、ダニーと握りあっただけじゃ自慢にならない。
まだまだ清いお子ちゃま、と笑われそう。
私もバイセクシャルになりたいが、プラトニックの域を越えられない。
文化的規定・タブーの壁を突破できない。
☆☆
アネクドート。
読者サービスとして良いと思います。
☆☆
書きたいものではなく、売れるものを、プロデューサーの勘で書く、とあなたは言った。
是非、と思う。
私が期待するのは、穿ち。
哀しくて、やがて面白き、心で笑える読み物、かな。
☆☆
天○○場は嫌だけどアルフ○ポリスならいいの?
書き出してみれば世界が変わったでしょう!?
☆☆
>明日から、打ち込む。
↑出版社に何枚見せられるの?
☆☆
>横浜講演会。
↑って何ですか。野坂の講演?
☆☆
>五十音に「んこ」をつけると、ほとんど熟語になる、と呆然と考えている。
↑これは、なかなかの発見です。
呆然とする気持ち、わかる。
…………………………
●K君──ギリシャ悲劇が始まった。
ギリシャの伝統。
中国では、中国笑劇。
中国の伝統。
日本の伝統劇は『能』。
放射能。政治不能。
☆☆
ナイジェリアのゴウォン将軍が国賓として英国をご訪問されたときのこと。
ロンドンのビクトリア駅まで馬車を仕立て、エリザベス女王がお出迎えになられた。
一緒に宮殿へ向かうときのこぼれ話である。
ふたりが馬車に乗っていると、一頭の馬が尻尾を持ち上げて、おならをした。
女王は将軍に向かって言った。
「まあ申しわけありません。いらして早々こんな失礼を」
ゴウォン将軍答えて曰く、
「いやどうぞ、お気になさらないでください。わたしはてっきり馬がしたものだと思っていましたから」
(キティ・ケリー『ザ・ロイヤルズ』吉澤康子訳 祥伝社)
(『名文どろぼう』竹内正明 講談社文庫)
書き出し。
…………………………
●T子──悲喜劇 虎と米
執筆の邪魔しちゃうけど。
『だめんずうぉーかー』第16巻で、著者倉田真由美と結婚した映画プロデューサーの叶井ナントカという若い男を見た。
彼は歴戦600人のヤリチンで、借金も膨大。
それでもなかなか魅力ある男のようで、あれなら「くらたま」も苦労を承知で面倒みちゃうだろう。
だけど大変そう。
ついこの間も、彼の前妻に訴えられ、負けて、苦いコメント出してたし。
叶井氏は、フランス映画『アメリ』の興業権(?)で大きく当てて、その後の人生を狂わせたらしい。
ちなみに、あれはものすごく良い映画でした。
映画プロデューサーにも色々あるのだね。
あなたは、外国映画を呼ぶこと考えた時期はないの?
他人の褌で相撲とるようなものだから、つまんないだろうし、元手が要るし、危険な賭、ではあろう。
そんな試行錯誤をするくらいなら、文筆業のほうがいいか。
☆☆
アルフ○ポリスに何か原稿を持ち込み、単行本化。
それを機に、あれこれ仕事を受けるようになるといい。
天○○場だって、利用しない手はないよ。
講○社は、私が群像新人賞受賞デビューして芥川賞まで獲れば、どうにでもなるけど、今のところは、ゴーストライターとして食い込むのみ。
インドネシアの先生、あるいは、ちょっと名のある映画人の出版企画を持ち込むことはできます。
先方は、そういうのを求めてます。
…………………………
●K君──6千字程、ワード打ち込む。
野坂始め他人の褌だが。
野坂褌散りばめたら、テーマ明解。
私小説が浮かび上がる。
ハウトゥの衣装を纏いつつ、文学・映画・言語を語り、批評。内実、私小説。
☆☆
『忌日事典』構想浮く。
桜桃忌、河童忌。掃苔趣味。
☆☆
『妄想力』
自分の葬式を想像する。
弔問に来る「おんな」たち。
付き合ったおんなの名前を並べる。
☆☆
原節子は、もうすぐなくなる。
原節子本。
横浜保土ヶ谷、会田昌江。
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●T子──水を差すようですが
ちりばめる。
難しい漢字。
変換できない。
☆☆
論文ではないのですから、引用は、出典明記しても、多用は危険。
ズバリ引用4行までならOK、というのが業界の通説。
☆☆
原節子の評伝、どこかの文庫本で出ている。
たしか、わりと新しい。
ともあれ、諸々期待しています。
…………………………
●K君──返信不要
と書くのを忘れた。
…………………………
●T子──返信してはいけないの?
では、ご勝手に。
…………………………
●K君──リアクションがおもしろすぎるでしょ。
罵詈雑言とか、上手いよね。
感情がこもっているから?
…………………………
●T子──罵詈雑言だなんて、とんでもない。
何故そう悪くとられるのか、さっぱりわかりません。
私の提言は全否定に聞こえる?
悪感情どころか、好意しかないのに。
もう一度、言葉どおりに解釈してください。
…………………………
●K君──メールって、伝わらないね。
おれは、誉めたんだよ。
悪く解釈してなんかいないぞ。
…………………………
●T子──それならいいよ
I keep crying.
I keep trying,for you.
I keep flying,in the falling.

2011.11.6
(連絡なし)
…………………………
2011.11.7
いつもの時間(7時30分過ぎ)に電話あり。
30分ほど話す。
…………………………
(T子記す)
Kは「メールだと伝わらないから、たまには電話を」と思ったとのこと。
書いているものについて話してくれた。
書けるようになってだいぶ明るくなった、と喜ぶ私。
ぜひ本にしてあげたい。
そうすれば文筆の仕事がとれる。
Kもそう望んでいる。
尿、屁、便、精液、そういうものはあなた全部出ないじゃん。
だけどその4本を柱にして300枚書いてよ。
4つの扉の先にK君の私小説があるんでしょ。
あなたの思い、体験、出来事、エピソード、文学、言葉、映画、酒、女、全部広げて、ぶちまけて。
思い切り批評を展開して。
私が編集者の目で読んであげる。
うん、まだ途中だけど読んでほしい、明日原稿を送る、とKは言っていた。
私は昨日も今日も雑誌記事を書きまくって頭がとっちらかっている。
うらやましい、とK。
アルフ○ポリスに校正リライトの仕事を増やしたいと頼んでおいた。仕事がきたらやるでしょ。
もう何でもやるよ、とK。
一昨日の最後のメール文、「crying、trying」について聞かれた。どういう意味か、なぜcryingなのか、返信できなかった、と。
あれは私のオリジナルじゃない。だから意味も理由もない。ノーリーズン。だけど素敵なフレーズでしょ。特に、flying,in the falling、「墜ちていきながら飛んでいる」っていうのがいい。ああいうフレーズが即座に出てくるようなら、私も相当の詩人だよ。
まあ、おおむね楽しい会話だった。
Kもご機嫌で電話を切った。
私も書くことや仕事に頭をとられているから、追いかけモードにならなかったのが良い。
平常心。
…………………………
●T子──アルフ○ポリスからメール返信1通きたよ。
あと3通、どんなかな。
> いつも大変お世話になっております。
> アルファポリスの○○です。
> メールありがとうございました!
> 校正のお仕事の件ですが、案件があるときとないとき、なかなか差が激しくて……
> また何か案件がありましたら、ぜひご相談させていただきたいと思っておりますので、その際はどうぞお願いいたします!
> 朝晩涼しい日が続いております。
> 風邪などひかれないようご自愛ください。
> 今後ともよろしくお願いいたします。
…………………………
2011.11.8
(朝10時、原稿メール送信されてきた)
>叶井氏は、フランス映画『アメリ』の興業権(?)で大きく当てて、その後の人生を狂わせたらしい。ちなみに、あれはものすごく良い映画でした。
>映画プロデューサーにも色々あるのだね。
↑宣伝部か興行部の仕事。
彼らは撮影現場は知らないけれど、仏文出のお姉ちゃんたちが結構いる。
これをフリーや個人事務所がやると大変。
興行権とは買い付け料のこと。
字幕をつけ、小屋確保の営業保証料、宣伝料がかかる。
シネカノンの李鳳宇も、会社は倒産した。
☆☆
原稿資料打ち込み段階を添付。
日独合作映画『新しき土』の採録シナリオほか添付。
この映画の『製作日誌』を考えている。
そして、その日誌をつけている。
業界に入ったばかりの青年の『映画と青春』。
これがライフワークか。
…………………………
●T子──『放屁力』拝読。
感想を述べます。
まずタイトルの『放屁力』は要再考。
タイトル如何で売れるかどうかが決まる。
サブタイトル?の「沈香も焚いて、伽羅も焚いて」は重複がうるさい。
「沈香も伽羅も焚き」ならまだ許せるが、沈香と伽羅は同一のものであるらしい。
☆☆
じん‐こう【沈香】
1 ジンチョウゲ科の常緑高木。熱帯地方に産する。葉は楕円形。花は白く、香りがある。
2 1からとった香料。生木または古木を土中に埋め、腐敗させて製したもの。最優品を伽羅(きゃら)という。沈水香。じん。
↓いっそ、これにしちゃえば?
「沈香(じんこう)も焚(た)かず屁(へ)もひらず」
特によいところもないが、悪いところもなくて、平々凡々であることのたとえ。
野坂さんもこれを引用しているが、いいではないの。
☆☆
引用については、ボリューム過多。
殊に、医学的解説が多い。
内容の整理を求む。
カテゴリー区分もやり直すべし。
なお、引用をまとめて掲載するのではなく、私小説の合間にはさむなどの工夫がほしい。
アネクドートの引用はもう少しあっても良いのでは。
あるいは、あなたが小話をつくる。
☆☆
文体、修辞について。
引用文は別として、総じて文章が粗い。
ライターとしてやっていけるかどうかギリギリのレベル。
必ずや、編集者に直される。
私も気づいた範囲で修正箇所を示したので、参考にされたし。
句読点の用い方にばらつきがあることも気になる。
これはいちいち直していないが。
もっと丁寧に、一文一文を大切に、書いていただきたい。
☆☆
やがて書き加えられる私小説について。
これが肝心。
でも今はまったく見えてこない。
1編も書かれていないのだから当然といえば当然だけれど。
☆☆
野坂さんの書き方はわかった。
これ以上は引用せず、というか、これを引用するのはかなりまずい。
引用すべきでない。
K私小説を出してください。
少なくとも150枚は書かないと。
短篇を10~20書く。
☆☆
「おなら」「おしっこ」「うんち」「精液」、この4本を柱というか扉にして書く。4つの扉の先にK君の内的世界があるんでしょ。
扉を開けるとアネクドートの出迎えがある。
続いて蘊蓄の引用文があり、それに触発されて書かれた私小説がはじまり、箸休めとして引用文が再び登場。
あるいは、私小説中に引用を組み込む。
そういう構成がいい。
☆☆
うまく構成すれば、山あり谷ありで景色が変わり、アクセントの効いた作品になる。
下手をすると乱雑、ごった煮の印象しか残さない。
あなたの過去現在未来、体験、出来事エピソード、文学(小説、短歌)、やまと言葉、現代日本語、映画、映画という仕事、仲間、友達、酒、女、旅、家族、親兄弟、思いを全部ぶちまけて、思い切り話を広げて。
それが私小説の真髄であり、ひいては人生批評、社会批評ともなるんでしょ。
古今東西の引用を幹として、そこから枝を広げて枝葉末節の充実を、と先日は私そのようなこと言ったけど、実はこちら(小説、というか回想、今にして書く過去の日記?)が幹であり、引用のほうが枝葉末節なのでした。
Good Luck!