【2011 September】
●K君──受賞の時は、着物がいい。
絶対的に美人だし、付加価値あり。
冬、夏、君の着物姿をみたい。
その着物「プレゼントしてあげる」ことができない。
ちと情けないが。
返信不要、勀勀勀 。
↑日本酒とっくりと猪口の絵文字が3つ。
…………………………
●T子──あなた自身が受賞デビューすること考えなさいよ。
酒タバコ控えて、書く。
運動をして筋肉つける。
せっかくまた仲良くなれたのだから、長生きしてほしいの。
仲間がいなければ、書く張り合いもない。
☆☆
狂熱のデュエット、読んだよ。
橫浜のこと、どこにも出てこないじゃん。
他の作品と勘違いした?
…………………………
●K君──横浜の匂いがしただろう。
乳首とクリ○リスが、ずきずきしただろう。
ハードボイルドだど。
…………………………
●T子──だから、あの作品には横浜のよの字も出てこないんだってば!
私あれから、単行本次回作の準備とライトノベルのリライトしながら、茅ヶ崎横浜デートのノートをまとめた。
そしたらなんと、ドブ板トランジットと同じくらいの長さになってしまった。
小説ではなく、単なるメモだけど。
気分落ち着いた。
さあこれから小説書くわ、横浜の。
…………………………
●K君──返信ありがとう。
返信不要。
ずきずき。
じゅわんじゅわん。
ごめんね。
☆☆
追伸
畳句。
日本語が、オーストロネシア語系の可能性。
語順は、ツングースだけど。
「走水」。みずはしる。
「不入斗」の解釈は。
…………………………
●T子──日本語のルーツがあるとしたら、琉球の言葉。
と日本語学の講義で聞いたけど。
…………………………
●K君──その前。
「おもろそうし」は、あるけれど。
体系は、日本語です。
南島語。
ゴキックブリックって、なーんだ?
…………………………
●K君──また邪魔をする、仕事の。
おまえ、昔より断然「いい女」になったよな。
ストーカーか!?
返信不要です。
勀勀勀
(日本酒とっくりと猪口の絵文字が3つ。告白メールの文末は毎度これだ)

●K君──Mojo1枚目
ご婦人の下履きが湿るやうな文章。
胸がときめく、と答えるのは、黒田あゆみのインタビューに答える時。
その時、あゆみ嬢も湿度80。
お着物のマナーとして。
最近は、上回るマナーがある。
それはそれ。
胸ときめくは、あそこが潤、ここが勃である。
半ページ分だ。
返信不要。
馬鹿の相手はしない。
死ななきゃなおらない、勀勀勀。
…………………………
(電話でKが語ったこと)(T子記す)
自分の文体について考えた。
書き出しの1行考えた。
おまえのことずっと考えているから書けた。
おまえ、編集者に向けて書くんじゃなく、俺にラブレター書くつもりで書け。
…………………………
(それに対してT子はこう答えた)
野坂の三島私論は、文章が男らしくて色っぽくて素敵だった。
「俺はテロテロが一番好き」と、あんた言うけど、それは小説でしょ、戯作調の文体でしょ、それとはまた別にいいものがあるのよ。
…………………………
●T子──書き出しはコレ
>胸ときめくは、あそこが潤、ここが勃である。
↑このあとに続く文章の参考として、私のデートノート抜粋を、夕方に送ります。
…………………………
●K君──無理するな。
ただ誰も居ないんだ。
妹と決裂。
婆さんは、俺のことを、「飯を作ってくれる人」位の認識。
底。
底で言葉が生まれる。
☆☆
男根握りしめ、10年目の9・11をやりすごした。
まだ生きていた。
スティルアライブ。
しかし、男○は○根といえず、根性なし。
10年が過ぎた。
返信不要。
馬鹿だから。
バカボンのパパだよな、おれ好き。

●K君──絶品
名器のことではない。
俺が婆さんにつくった飯のことだ。
大根と茗荷の千切り。
大葉あればよし。
そいつも、千切り。
☆☆
塩。
塩だけで漬けた梅干しのスープ。
汁。
受け椀に、とろろ昆布や天かすがあってもいい。
鷹の爪はんかけ。
絶品。
☆☆
蛤1つ、アサリは5、蜆は10。
潮汁。
貝汁。
…………………………
●T子──あなた、身辺が落ち着かないので書けないのよね。
時が来るのを待つしかないか。
でも飲み過ぎてはだめ。
私の仕事の邪魔をしてる、なんて気にしないで。
メールや電話でペースが乱れるほどヤワな女じゃございません。
☆☆
あなた今はPCが使えないから、私のデートノートからほんの一部を抜粋してケータイに送信する。
(以下がそれよ)
☆☆
私ももう年下の男に夢中になるなんてことなさそうだから、昔の男は大事にするよ。
もう恋なんかできねえだろ。
でもわかんないよ、作家になって住む世界が変われば、できる編集者とか同業の作家に惚れるかも。
編集者に惚れろ、むこうにも惚れてもらえ、だけど俺ほどおまえのことわかってる編集者はいない、ほかのやつらは金のため、売るために仕事するけど、俺はおまえに残るものを書かせる。
肩にもたれる。
髪をなでてもらう。
言葉はいらない。
ラブホテルでS○やりたいと言う。
ばか。
おまえはどっち?
あんただから教えるけど、実はM、目隠しされてぶたれてると痛さが快感に変わる瞬間がある、自分というものを放棄する快感、あれは女の歴史上つねにつきまとってきた感覚だと思う、一切を男に委ねて自分の責任をなくすこと、私だって、ああこの人と一緒にいれば何もかもうまくやってくれるんだわと安心しきった時期がほんのちょびっとだけどあった、すぐ駄目になったけど、女はこれで楽になれると期待して結婚する、それでうまくいけばいいけど、二人分の苦労を背負うことが多い。
俺がぶってやろうか。
いいよ、ノーサンキュー。
私は時間をかけて彼の身体をなめる。
フ○ラしようとするときの顔がいい、きれい、おまえフ○ラ好きなのか。
人による、厳密にいうと、あんたしかだめ。
おまえ、これが最後だと思ってるだろ。
思ってない。
そのあとバスタブの中でフ○ラ、彼は立ち姿勢、私は正座して。明るいバスルームで、シャンプー直後だから顔むきだし。
でも恥ずかしくない。
いいフ○ラだったのに、彼、突然やめた。
マッサージしながら気を送ったので疲れた。
彼は勃○したから、こっちおいでと呼ぶ。
すぐ応じる。
キス、濃厚に。
だんだん大人のセ○クスができるようになってきた感じ。
よけいなことは何も考えない。
Gス○ットもクリ○リスもどうでもいい。
今はキス、抱擁、フ○ラ。
今年はずいぶん目を合わせられるようになった、会話のときもセ○クスでも。
指でしてもらって、イン○ート。
見つめ合いながら、動く。
クリに当たるような体勢とってくれる。
中に入れて締めて感じる。
バックもした。
どこでどう終わったのかよく覚えていない。
酔っていたせいもある。
でもベロンベロンじゃない。
ちゃんと意識があるし、体で感じている。
俺、いくと忘れちゃうんだと言うから、じゃここでやめようと私が途中で退いたかも。
自分でクリ○リス愛撫しながら正上位ですると、ぶっとぶ、最初はほんとに驚いた、自分でしなくてもいけたのは一度だけ、膣の奥に蝶々がいるみたいにもぞもぞして、それがパチンとはじけた。
あんたとのセッ○スであたしが一番感じたのは高校のとき、正上位でキスして、Tちゃん好きだよ、今日きれいだもんなと言ってくれた、あんたのいく顔がすぐそばにあって、たまらなくよかった。
俺が一番よかったのは、あのビルの裏階段でしたとき、するっと入った。
でもごく短いセッ○スで、しかも別れ話をしたあとだったよ、あれがなんでそんなにいいのかわからない、さっぱりわからない。
ここからのセッ○スが成熟系という感じだった。
彼のアレを指でして、フ○ラ、イン○ート、見つめ合って動いて。
上になられるとさすがに濡れすぎて、声も出て。
あいつピストン運動に疲れたと言って長続きしなかったけど。
刺激が強すぎていけないんだと。
私がすごく感じていたのわかる?
わかるよ、発汗してたから。(妙に冷静な観察眼だわ)
…………………………
●K君──おもしろい。
実に。
中年の黄昏感が、あればよし。
…………………………
●T子──あなたPCじゃないから、ケータイに、私の新作の一部を抜粋して送信。
「スクランブル・ラブ・ホテル」
午前九時過ぎ、ホテル従業員用の裏口から出て駐車場を突っ切ると、そこは中華街のはずれの北門通りである。街の東西南北を護る四神のうち、北の守護神である亀を象徴する黒門柱が目の前に聳えている。玄武門である。これを潜り抜ければ、ヨコハマチャイナからジャパンへと時空が切り替わる。門の向こう側、すぐそこに区役所が見えている。公園とスタジアムの先には市役所がある。
あちら側に戻るか、と思いつつも足は逆方向を向く。さしあたり、急ぐ用事はないのだ。今日は本業のほうの打合せを進めるつもりでいるが、取引先に連絡をとるのは午後からで構わない。だからもうしばらくはこのまま、日常とも非日常ともつかぬ曖昧な時を味わっていたい。
すでに十六時間、日常を忘れている。昨日は夕方四時からホテルに入り、在日韓国人やら出稼ぎ組やらに囲まれて一晩過ごした。言葉も動作も荒々しい女たちに混じってタオルやシーツを運び、慣れない手つきでベッドメイキングをし、客が残していったごみや汚物の後片付けに追われていたのだから、いつもの自分などどこかに吹き飛んでしまった。目先の仕事に応じるだけで手一杯、よけいなことを考えている余裕などなかった。
午前二時をまわり、ホテルが満室になると、我々泊まりの従業員は仮眠室に引き上げ、誰が使ったのかわからない古布団にくるまって寝た。六畳の和室に六人の女が雑魚寝をする。だが一人につき畳半畳分しか与えられないのは、フロントや昼の部の清掃員も含めた全従業員のロッカーが部屋の半分近くを占めているせいだった。顔を洗って横になり、灯りを消すと、すぐに韓国の女たちはいびきをかきだした。こちらはいつまでも寝つけずに、こんなところでいったい何をしているのだろうと、情けなくなった。泣くまいと思っても、あとからあとから涙がこぼれた。
それでも朝方には少しうとうとして、六時半の目覚ましで浅い眠りを破られた。韓国の先輩たちに倣って布団をたたみ、仮眠室の隣の控えの間でテーブルを囲んでインスタントコーヒーをすすった。最初の一夜が明けた、と思うと気が楽になった。先輩たちに教えられるまま、深夜から早朝にかけてのチェックアウトで空いた部屋をざっと片付け、昼の部のおばさんたちが本格的な清掃をするための下準備をした。朝の仕事はそれだけだった。九時近くなって日勤組が次々にやってくるのと入れ替わりに、夜勤組は制服から私服に着替え、化粧を整えて、タイムカードに退勤時刻を刻んだ。
陽はとうに海から遠く離れ、南門の真上あたりの中空に浮いている。冬場の微弱な陽光が中華街大通りを照らし、白い一筋の道をつけている。あのごつごつとした石畳の舗道を辿っていけば元町に出るから、そこでゆっくりお茶を飲みながら時間をつぶせばいい。午後の打ち合わせに備えて、もう一度資料に目を通しておきたい。
だが待てよ。元町でお茶もいいけれど、その前に何か食べなくては。肉体労働のあとだから、なにか滋養のある食事をしたい。この時間に開いているのは、聘珍樓の飲茶くらいしか思いつかないが、あそこなら朝八時にはもう蒸籠から湯気があがっているし、お粥の用意もできている。ただ、値段に少々問題がある。烏龍茶とともに飲茶の皿を数品とれば、ラブホテル清掃員二時間分の時給が消える。今はそんな贅沢が許される身ではない。昨日のように、アルバイト先のホテルにタクシーで乗りつけるなんてことも、もうしてはいけないのだ。夕飯はお弁当持参で、と言われていたので崎陽軒のシウマイ弁当を買っていったのも愚かであった。同僚の韓国のおばさんたちは、自分で炊いた飯、手製のキムチ、そのほか色々とおかずを持ち寄り、分け合って食べていた。いくらか日本語を喋れる出稼ぎが、ソレイクラ、とシウマイ弁当を指差して聞くので値段を教えてやると、目をむいて驚かれた。こちらとしては、それほど高いものじゃなかろうと思い、日頃ちょいちょい利用している。だが、夕飯までのわずか三時間の労働でいくらか気が変わっていた。タクシーもシウマイ弁当も、ここで一時間汗水たらして働く苦労とひきかえに手に入れられる代物なのだ。それを思うと、とてもじゃないがもう気楽に手を出せなくなる。
しばらくは贅沢を慎もう、と心に決めた。なにしろ今は千二百万の借金があり、本業のデザインの仕事だけでは返していくことはむずかしいのだ。つい半年前なら、(続きはまたの機会に)