クリエイティブ・ライティング

お気に入りの街を文章で素描(スケッチ)してみよう・横浜編

投稿日:2020年9月1日 更新日:

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お気に入りの街並みや景色を、文章で素描(スケッチ)してみませんか。

文章上達のよいレッスンになります。

描き方に制約はないので、自由にやりましょう。

絵画、写真、動画ならば、画像のみならず、その場に流れる音楽まで取り込むことができます。

文章スケッチにおいても、それは可能なはずです。

目に浮かぶような描き方、音楽が聞こえるような描き方をしたいと、私は願っています。

それで地元・横浜の街を文章スケッチしてみたら、こうなりました。

現実の街と、私の記憶の中にある昔の街とが混在しています。

ご笑覧いただけますなら幸いです。

横浜中華街

北の亀、南の朱雀、東の龍、西の白虎。

この4種の動物が神となり、天地を護るとされている。

そこで中華街も東西南北それぞれの門柱に守護神を配置し、街を護っている。

四神の門を潜り抜ければ、ヨコハマチャイナからジャパンへ、ジャパンからヨコハマチャイナへ、と時空が切り替わる。

中華街大通りを歩いてみる。

極彩色の門とネオン看板がひしめくなかを人が行きかい、蘇州夜曲と古いジャズと時の流れに身をまかせが交互に聴こえてくる。

喧噪の中で、疲れきった体もにわかに活気づくことの不思議。

大通りから裏道に回ってみると、そこには必ずといっていいほど、中国人の民家やアパートがあり、合間にぽつりぽつりと、肉饅頭や粽をつくる小さな工場、というよりも大きな台所が点在している。

中国人相手の床屋の店先には、老いた理髪師がハサミやカミソリを手に立ち、同じく老いた纏足の女をしたがえていたりする。

老翁と老嬢は置物のようにじっとして動かず、道行く人々を眼光鋭く眺めやっている。

さらにその二、三軒先には、チャイナ服を仕立てる工房がある。

料理飲食業の菜刀、理髪業の剃刀、洋服仕立業の剪刀、つまり開港当時から名に聞こえた「三把刀」の伝統が今も健在であることを示す光景なのだが、どこかわびしさを伴い、そのわびしさがまた、疲れた体に心地よいのだった。

路地裏の物悲しい魔法の味まで覚えてしまうと、浮き沈みの激しい世の中もさほど怖いものではなくなる。

沈むだけ沈んでしまえば、次に待っているのは浮上しかない、と思えてくる。

MM21&万国橋界隈

みなとみらい地区のおよそ四分の一は、というのは、みなとみらいセントラル地区に連なる新港地区のことだが、それはなんと、橫浜の大陸から切り離された小さな島の上にある。

陸と島の間には、いうまでもなく水がある。

それは埋め残した海が川になったものなのか。

それとも小ぶりの船舶航行のため、または給排水や灌漑のために、陸地を掘り開いてつくった人工の水路なのか。

どちらにせよ、天然の流れではない。

人間の種々の活動によって生じた運河のようなものである。

その運河に囲まれた小島と陸部は三つの運河橋でつながれている。

小島のひとつの片隅に橫浜赤煉瓦倉庫が建つ。

歴史の風雪に耐えた貴重な建造物であるが、とうに倉庫としての活用を失い、長年にわたってうち捨てられたまま、無惨な荒廃をあたり一帯に放出している。

この荒み具合がたまらなく美しい、このままそっとしておきたいと密かに願う者は多いだろう。

だが、赤煉瓦倉庫は時代の要請にあわせて再生される予定である。

赤煉瓦倉庫のすぐ近くにある新港橋も再生を促されている。

新港橋は、小島の赤煉瓦倉庫と陸上の橫浜税関をつないでいる。

その先は神奈川県庁、開港記念会館へとつながっている。

昔、この街に高層ビルなど一棟たりとてなく、西洋建築そのものがまだ珍しかった頃、橫浜税関・神奈川県庁・開港記念会館の三雄姿は、はるか沖合からも遠望できるランドマークだったという。

橫浜にしばしば寄港する船員たちは愛着と敬慕の念をこめて、三つのランドマークをそれぞれ、キング、クイーン、ジャックと名づけた。

古き良き橫浜のシンボルであったKQJと橫浜赤煉瓦倉庫、そして最新の橫浜の顔である「みなとみらい21」地区を一度に見ようと思ったら、新港橋こそうってつけの場所である。

そのことが誰の目にも明らかになったとき、新港橋は数ある運河橋のなかでも特別の存在となった。

みなとみらい見物の行楽客がきっと足を運ぶ人気の散策コースへと昇格させるべく、多大な予算を投じて整備され、新たに架けかえられるのだ。

そしてもうひとつ、万国橋がある。

万国橋は小島の西側ほぼ中央にはじまり、そこからさらに西へ向かって橫浜大陸の馬車道、伊勢佐木町へと直結する。

(了)

関連記事→お気に入りの街を文章で素描(スケッチ)してみよう・横須賀編

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