漢字の読み間違いをすると、人に笑われます。
ひょっとすると、神様・仏様も笑っているかもしれません。
神社仏閣や教会に近づくときは、できるだけ正しい言葉遣いをするよう心がけましょう。
そんな思いをこめて、読み間違いの例を挙げてみました。
●御利益(ごりやく)
神様や仏様にお参りして与えられるものを「御利益」といいます。
「ごりやく」と読むのですが、「ごりえき」と読んでしまう人は少なからずいらっしゃるようです。
そう読みたくなる気持ちもわかりますけどね。
↑「家内安全」「無病息災」だけじゃ物足りなくて、どうしたって「商売繁盛」と「利益向上」を願っちゃうものです。
でも正しくは「ごりやく」ですから、お間違えのないように。
●境内(けいだい)
神社、寺院、教会などの敷地を「境内」といいます。
「けいだい」と読むのが正しいので、「きょうない」なとど誤読しませんように、アーメン。
●御来迎(ごらいこう)
高い山の頂上で見る日の出を「御来迎」といいます。
どこで間違えて覚えたのか、私などつい「ごらいごう」と言ってしまうのですが、正しくは「ごらいこう」です。
●天照大神(あまてらすおおみかみ)
「天照大神」は『古事記』『日本書紀』に登場する女神で、日本の総氏神とされています。
太陽神でもあり、五穀豊穣を司る神であるとして、日本各地で祭神として祀られてきました。
この天照大神のことを、畏れ多くも「てんてるだいじん」と読んだ人がいるのです。
読み方がわからないなら、人に訊けばよかったのに、と残念に思います。
読み間違えると、日本人としての基礎的な教養、というか常識を疑われるようです。
●八百万の神(やおよろずのかみ)
古来、神道(しんとう)において、日本にはきわめて多くの神々がいらっしゃるとされています。
自然の山や川にもそれぞれの地域の神がいて、土地を守ってくださっていると信仰されてきました。
八百万の神を「はっぴゃくまんのかみ」と読むのは間違いです。
正しくは「やおよろずのかみ」です。
●阿吽の呼吸(あうんのこきゅう)
両者の息がぴったり合って調和していることを「阿吽の呼吸」といいます。
「阿」は口を開いて発する声のことで、「吽」は口を閉じて発する声のこと。
「阿」と「吽」、いずれも仏教由来の言葉です。
この「あうん」が読めずに、「あうしの呼吸」といった人がいます。
たしかに、むずかしい字だけどねえ。
●手向ける(たむける)
先祖の墓にお参りするときは、花を手向けますね。
と高校時代の国語の先生が言っていた、いや、おっしゃっていました。
●因縁(いんねん)
「因縁」というのは、物事の起こるきっかけとなった大元である「因」と、その流れに間接的に働きかける条件、つまりは「縁」のことをいうそうです。
因と縁とで物事は動いていく、ということですね。
それとはまったく別に、因縁には「言いがかり」という意味もあります。
「因縁をつける」というのは、口実をつくって無理難題をふっかけること。
↑これを「いんえん」なんて言い間違えると、怖くもなんともないので腰砕けです。
↑って、人にいちゃもんつける悪者の肩をもつワケじゃないのですけどね。
●福音(ふくいん)
「ふくおん」ではなく、「ふくいん」と読みます。
イエス・キリストの説いた救いの教えのことだそうです。
ゴスペルともいいます。
●黙示録(もくしろく)
「もくじろく」ではなく、「もくしろく」と読みます。
新約聖書の最後の一書のことだそうで、アポカリプスともいいます。
●まとめの一言
仏教用語にはむずかしい漢字が多く用いられているため、読むのも書くのも楽ではありません。
でも、だからこそ、よい修行になるのだともいえます。
そういう前向きな気持ちで漢字に親しむことにより、言葉力はぐんぐんアップしていくのだと思います。
読める、書ける、的確な場面で言葉が口をついて出てくる、
というようになっていきたいものですね。